詩、詰め合わせ -02 (2014年作品)

別れの時

分かっていた
いつか別れが来ることも
離ればなれになることも

時間よ止まれ
そう願っても
時の歩みは止まることなく
ただいつもと同じく
一秒一秒時を刻んで

昔のいつかが今になり
君に『また明日』と
言えなくなってしまう

覚悟は決めていた
覚悟を決めたはずだった
でも本当は
覚悟は決められてなかったのだ

別れはいつしかやってくる
そのいつかが再び今になった時
僕に覚悟はあるのだろうか

決して僕は強くない
だから旅立ちの時はこう言おう
『またいつか、会える日まで』と


強さ

人は上に立ちたがる
誰よりも強くあろうとする
君は君で 僕は僕で
同じ人間なはずなのに

僕は思う
弱さは強さ 強さは弱さ
劣っているから勝っている
優っているから劣っている

この世界ではそれが成り立つ
けれどそれは理不尽なこと

一体その理不尽は
誰が決めるのか
それは誰にもわからない


願い

どんなに叫んだって
届かないことは もうわかってる

それでも叫び続けずにはいられないんだ

去っていく君の背を
また見送って
何よりも大事な君が
二度と帰ってこなかったら

そんなことを思って
とてつもない不安にかられる

だからひとつだけ約束して
必ずここに戻ってくると


君に勝てること

一番
一位
最優秀

誰もが目指す高み

君は言う
「あと少しなのに」
君は言う
「二番じゃだめなんだ」
君は言う
「どうしてあと少しが届かない」

僕は思う
一番じゃなくてもいいと
僕は思う
そんなに無理することないと
僕は思う
君はもう十分なくらい認められていると

僕は君とは全然違う
僕は音痴だし
絵心はないし
料理はよく焦がすし
掃除機でマットの端を吸い込んで
洗濯をすれば服をキッズサイズにして
歩いていればよくつまずく

僕と君は全然違う
君は綺麗な歌声で
絵が上手で
料理の味は絶品
姑が口出しできないくらい掃除上手
洗濯物は太陽のいい匂いがするし縮んでない
そして、つまずきそうな僕を支えてくれる

こんなこと言ったら
君は照れながら否定するんだろうな

だから言わない
心の中にとどめておく

心の中にとどめたまま
君の名前を呼んで
そっと抱きしめて
「頑張り屋さんなんだから」
とだけ囁く

僕が君に勝てることといえば
君への想いだけ

時が過ぎて

君の瞳には
この世界はどう映っているのだろうか

かつて君は
この世界は美しいと言った

時が過ぎ変わり果てた世界
それでも君はまだ胸を張って
美しいと言えるのだろうか

僕らが狂わせた世界は
刻一刻と終わりへと近づいて
いつか世界中の全てと共に
終わりがくるのだろう

そんな荒んだ世界でさえ
美しいと君が言うのなら
世界の終わりがこないことを
僕は祈ろう


高み

きっと誰もが心の奥で
「一番になりたい」
そんな思いを持っているだろう

だけど一番は限られてる

僕らは戦わなくちゃいけない
一番になるために
たとえそれが
友であろうと
師であろうと
親であろうと

みんなで寄ってたかって
大勢の人を押し上げても
結局そこには一人しかたどり着けない

そこまでわかっていても
目指さずにいられない

みんなを踏み台にし
たどり着いたそこが
最悪の場所であったとしても


空へ

僕たちはちっぽけで
誰かに助けてもらわなければ
生きていけなくて

でも誰にも頼りたくない
そんな気持ちもあって

そんな矛盾が
きっと人間らしさなんだろう

矛盾のない人間ってものを
僕は見たことがない
と思う

断言はできないんだ
もしかしたら
そんな人がいるかもしれないから

きっとみんなが
矛盾のない完璧な人間を
目指しているんだろう

そう
いつだって僕らは
一人で飛び立てるように
願っているんだ

傷ついて、地に落ちて
それでも青い空を目指して


君にも僕にも

小説
マンガ
アニメ
ゲーム

ツクリモノの世界
僕らが望む世界

現実ではできない
そんなことが
僕たちの手の中から生まれてくる

思えば
夢のない世界なんてないんだ
夢があるからつくられて
夢があるからそこにすがる

たとえかなわないと知っていても
それでも
夢を持ち続ける

夢は素敵だ
どんなに大きくても
どんなにちっぽけでも
誰がもっても
許されるのだから

僕には夢がある
君にも夢がある
僕も
君も
この世から旅立つまで
ずっと”夢”をみる